牛首紬の名称

牛首紬は、戦前白山紬の名で世に出ていた。しかし、県内の他の地方で織られたもののうち、たて糸に人絹糸を用いたり、或いは、生糸を購入し合糸して織りあげ、一見して牛首紬と相違するものが、白山紬の名で市場に出回った。そのため、一時“釘抜き紬”の登録商標をもって類似品との区別をしたことがあった。 現在、石川県内で紬の原糸に玉糸原糸を自家製糸し、手織り紬を製造しているところは、白山市桑島にある加藤手織牛首つむぎと白山市白峰と白山市鶴来町に工場を持つ白山工房以外になく、従って類似品があっても区別されるよう、特に古代から用いられていた“牛首紬”の名を用いている所以である。尚、牛首とは白峰地域の旧名である。